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その日私はいつものようにバイトを終えて、夜家に帰った。  玄関を開けた時、妙な静けさがあった。  それはかすかなもので、それでも普段とは異質の、死の 匂いを感じるような静けさだった。家のなかで何かが終わってしまっているような感じだった。それがあまりにもはっきりと感じられたので、私はこわくなった。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 ページ位置:65% 作品を確認(amazon)
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胸騒ぎ・嫌な予感
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前後の文章を含んだ引用
......の夜のなかで、このひとと私が歩いていて、それがいつで、自分が何歳なのか。そういうことが無意味に感じられた。 ただそれだけが強烈に闇に浮かぶ鮮やかな感情だった。 その日私はいつものようにバイトを終えて、夜家に帰った。 玄関を開けた時、妙な静けさがあった。 それはかすかなもので、それでも普段とは異質の、死の匂いを感じるような静けさだった。家のなかで何かが終わってしまっているような感じだった。それがあまりにもはっきりと感じられたので、私はこわくなった。そういうとき、いろいろあったせいで自分の感覚がどんどん研ぎ澄まされて子供に近くなってくるのがわかる。 具体的にはそれは単に、玄関の電気が消えている、という普段で......
単語の意味
妙(みょう)
・・・とてもいい。非常に優れている。または、不思議、奇妙なこと(さま)。
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