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二人きりになるための画策は、どちらも未練を残しつつ諦めていた。  その分ただ、相手の眼差しに、何か抱擁の代わりになるものを──その埋め合わせとしての熱と潤いを求めていた。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 ページ位置:37% 作品を確認(amazon)
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目が合う・見詰め合う・視線がぶつかる
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前後の文章を含んだ引用
......塗ったばかりの口紅が彼の口の縁に移ってしまったのを、人差し指でそっと拭った。 その日の夜も、近所のレストランで、三人で夕食をともにしたが、ジャリーラの目を盗んで二人きりになるための画策は、どちらも未練を残しつつ諦めていた。 その分ただ、相手の眼差しに、何か抱擁の代わりになるものを──その埋め合わせとしての熱と潤いを求めていた。 蒔野は二人をアパルトマンまで送ったが、その日は部屋には、もう上がらなかった。洋子はジャリーラを先に行かせると、外門を出る前の暗がりで、最後の抱擁を交わした。ま......
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目差し・眼差し(まなざし)
目差し・眼差し・・・物を見るときの目の表情。物に視線を向けるときの目のようす。目つき。目線。
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