(ピッチャーが投げる)今まさに、左手を振り下ろした瞬間だ。右足はしっかりと土をつかみ、ひさしの奥の目は、キャッチャーミットに吸い込まれてゆくボールを見つめている。マウンドに漂う土煙の名残が、ボールの威力を物語っている。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:100% 作品を確認(amazon)
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野球
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前後の文章を含んだ引用
......もいる。ルートはその腕を取り、博士の肩を抱き寄せる。胸で江夏のカードが揺れる。 背景は暗く、観客もスコアボードも闇に沈み、江夏ただ一人が光に浮かび上がっている。今まさに、左手を振り下ろした瞬間だ。右足はしっかりと土をつかみ、ひさしの奥の目は、キャッチャーミットに吸い込まれてゆくボールを見つめている。マウンドに漂う土煙の名残が、ボールの威力を物語っている。生涯で最も速い球を投げていた江夏だ。縦縞のユニフォームの肩越しに背番号が見える。完全数、28......
単語の意味
左手(ひだりて)
左手・・・1.左の手。 ⇔ 右手(みぎて)。
2.左の方向。左側。
2.左の方向。左側。
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(ファウルボールが客席に飛んできて危険な目に遭う)ボールが落下をはじめた瞬間、これは決して優雅な打球などではないと悟った。止めようもなく見る見るスピードは増し、風を切り、長い旅を経て宇宙から落下してくるもののような熱気を撒き散らしていた。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
振り切ったバットから、優雅な放物線を描き、ボールが夜空に舞い上がった。博士の古い大学ノートに書かれていたような放物線だった。ボールは月よりも白く、星よりも美しく、群青色の宙のてっぺんに浮かんでいた。皆がうっとりとその一点を見上げていた。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
(グローブ)どんな打球でも逃さず捕球できそうな美しいグローブ
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
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芥川龍之介 / 芋粥
(真夏の剣道大会)竹刀と竹刀がぶつかり合う音には、会場内に重く沈殿している暑さの塊を、それに付随するもたついた何かを、そのたびに鮮やかに切り裂いてくれるような鋭さがあった。
朝井 リョウ「武道館 (文春文庫)」に収録 amazon
下半身の浮いている欧米人に柔道の捨身業を掛けることは丸太棒を倒すほどに易かった。
富田 常雄 / 姿三四郎 地の巻 amazon
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