（毒親との切れない縁）あの人は思い切り受話器を叩きつけて電話を切った。 でも、ガシャリという耳を殴られたような音を聞くのは、今日が初めてではない。この音を繰り返し聞いても、私はあの人と繫がっている。太いワイヤーを形成する細いワイヤーの 撚りの中の一本が断ち切られているだけ。それでも、いつかは解放に繫がる行為のはずなのに、ワイヤーが切れるごとに、酷い頭痛に襲われる。
湊 かなえ / ポイズンドーター・ホーリーマザー「ポイズンドーター・ホーリーマザー (光文社文庫)」に収録 ページ位置：8% 作品を確認（amazon）
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毒親
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前後の文章を含んだ引用
......いたはずだ。しかし、しばらく待っても息を吸う音すら聞こえてこない。ただ、無言が続くだけ。そこで腹立たしさが沸騰しきったのか、生意気な反論が来るのを防ぐためにか、あの人は思い切り受話器を叩きつけて電話を切った。 でも、ガシャリという耳を殴られたような音を聞くのは、今日が初めてではない。この音を繰り返し聞いても、私はあの人と繫がっている。太いワイヤーを形成する細いワイヤーの撚りの中の一本が断ち切られているだけ。それでも、いつかは解放に繫がる行為のはずなのに、ワイヤーが切れるごとに、酷い頭痛に襲われる。 子どもの頃、母に買ってもらったアンデルセン童話の「人魚姫」に、姫は足を手に入れたが、一歩踏み出すごとにナイフの上を歩いているような激痛が伴う、と書いてあった。......
単語の意味
縒る・撚る（よる）
縒る・撚る・・・細長い糸状のものをひねる。複数の糸状のものをねじり合わせる。
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（毒親との切れない縁）あの人は思い切り受話器を叩きつけて電話を切った。 でも、ガシャリという耳を殴られたような音を聞くのは、今日が初めてではない。この音を繰り返し聞いても、私はあの人と繫がっている。太いワイヤーを形成する細いワイヤーの 撚りの中の一本が断ち切られているだけ。それでも、いつかは解放に繫がる行為のはずなのに、ワイヤーが切れるごとに、酷い頭痛に襲われる。
湊 かなえ / ポイズンドーター・ホーリーマザー「ポイズンドーター・ホーリーマザー (光文社文庫)」に収録 amazon
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