(深夜の洗面台の前で二人きりになって思い出話)思い出話が終わると、もうお互いに喋る言葉が見つからなかった。二人の間をこぼれ落ちてゆく時間の音が、水の音とすり変わって、夜の果てまで細く連なっていった。
小川洋子 / ダイヴィング・プール「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 ページ位置:62% 作品を確認(amazon)
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黙る・沈黙
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前後の文章を含んだ引用
......うな、澄んだ自分のふりをしなければいけなかった。純は、清らかな水にしか飛び込まないだろうから。そして純に、わたしの中をノースプラッシュで貫いてほしかったから。 思い出話が終わると、もうお互いに喋る言葉が見つからなかった。二人の間をこぼれ落ちてゆく時間の音が、水の音とすり変わって、夜の果てまで細く連なっていった。 爽やかな季節はあっという間に過ぎ去って、気がつくと毎日雨ばかり降っていた。昆虫の羽音のような弱々しい雨が、ひかり園の緑を濡らしていた。途切れそうで途切れない憂......
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黙る・沈黙の表現・描写・類語(声・口調のカテゴリ)の一覧 ランダム5
沈黙が一座に訪れ、皆は煙草をふかし、眼を各人の眼からそらせるように、部屋の高みに向けている。
野間 宏 / 暗い絵「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
夢野久作 / ドグラ・マグラ
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もの静かで能弁な沈黙だった。僕はそれまで、沈黙というのはただじっとだまっているだけのことだと思っていた。《…略…》変な言い方だとは思うけれど、耳を澄ませれば彼の頭が最高速度で回転している音が聞こえそうだった。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
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