(浮気を疑い問い詰める)二人は暫く黙っていた。謙作の頭の中は熱を持ったようになり、疲れたまま 冴えていた。静かな晩だ。寝静まった感じで 四辺 は 森々 としていた。そしてただこの座敷だけが熱病にうかされ、そこには「凶」という眼に見えぬ小さなものが無数に跳躍しているよう謙作には感じられるのだ。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:73% 作品を確認(amazon)
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不審・疑う・信用できない
胸騒ぎ・嫌な予感
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前後の文章を含んだ引用
......、無表情な、醜い顔をして、ぼんやりと床の間の方へ眼を外らしていた。そこには先刻甚く喜んだ壺や函がある。「坐ってないで横におなり」 直子は動こうともしなかった。 二人は暫く黙っていた。謙作の頭の中は熱を持ったようになり、疲れたまま冴えていた。静かな晩だ。寝静まった感じで四辺は森々としていた。そしてただこの座敷だけが熱病にうかされ、そこには「凶」という眼に見えぬ小さなものが無数に跳躍しているよう謙作には感じられるのだ。「とにかく、もう少し物を云っちゃあ、どうだい。こうこじれて来てはこのままで眠るわけには行かないし。──それともお前は何にも云わないと決心でもしてるのか?」「……......
単語の意味
冴える・冱える(さえる)
暫く・姑く・須臾(しばらく)
暫く・姑く・須臾・・・1.長いと感じるほどではないが、すぐともいえないほどの時間。ちょっとの間。一時的。
2.ちょっと待った!
2.ちょっと待った!
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