さわやかな不倫なんてないのはわかっていたが

（叶わぬ恋）いつしか蒔野に、一人の女として惹かれていた彼女は、まるで報われる見込みのないその感情の火を、必死で踏み消そうとしている

彼は私の愛情を過信し他の女に手を出し私をぞんざいに扱うだろう

（兄妹でデート）ご夫婦ですか？　と聞かれる度に、公園の老夫婦を見かける度に、気まずくなっちゃうのよ。逃亡者みたいに。

妻の目を盗んで、こっそり会う

満たされることのなかった、そしてこれからも永遠に満たされることのないであろう少年期の憧憬

私の愛情は利己的だよね。注げば注ぐほど、うっとうしいだろう。内面だけではなく顔もこわくなってきてる。《…略…》あなたにしがみついている間に色んなものが私にぶつかってきて私の容貌を変えた。そして、あなたは泣き虫なゾンビに強い力で足首を摑まれたまま、足を引きずりながら歩いている。しがみつき続けるだけでもけっこう大変だから、しがみつくことが正しいかどうかなんていう根本的な問題を、考えてみるだけの余裕が今まで無かった。

すべてが終わったとき、次第に遠のいていく恍惚の中で女がブルッと身震いをした。

そこには愛によって使い古された空気が漂っていて

十和子も起き上がってベッドの端に浅く腰掛け、目の前に立ちはだかる水島のあらわに尖った部分を口に含む。鈍重な肉塊から漏れ出るわずかばかりの液体は、唾液とはちがう味、ちがうにおいがする。尻を抱えた片手に力をこめて腰を顔に押し付けるようにしながら、もう一方の手で陰嚢を愛撫する。