釣合のとれない不安
芥川龍之介 / 芋粥 ページ位置:78% 作品を確認(青空文庫)
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不安になる
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......が、それも、かう陶然としてゐれば、少しも苦にならない。万事が、京都の自分の曹司 にゐた時と比べれば、雲泥の相違である。が、それにも係はらず、我五位の心には、何となく釣合のとれない不安があつた。第一、時間のたつて行くのが、待遠い。しかもそれと同時に、夜の明けると云ふ事が、――芋粥を食ふ時になると云ふ事が、さう早く、来てはならないやうな心もちが......
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