今度は、弟を失うことになるのだろうか。不意に、からだ中が不安でいっぱいになった。厚ぼったい暗幕が頭のてっぺんからかぶさってきたような不安だ。目の奥が少しくらくらした。
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 ページ位置:20% 作品を確認(amazon)
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不安になる
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前後の文章を含んだ引用
......病室の行き届いた清潔さをこんなにも心地よく感じるのは、母親との薄汚れた雑然とした生活のせいだと気づいた。 わたしは、ゆっくりと、順番に家族を失っていった。そして今度は、弟を失うことになるのだろうか。不意に、からだ中が不安でいっぱいになった。厚ぼったい暗幕が頭のてっぺんからかぶさってきたような不安だ。目の奥が少しくらくらした。病室は相変わらずしんと息を静めていた。わたしはただここの清潔さを十分に味わうために、何度も深呼吸をした。 数日が、あっという間に過ぎた。弟はあの病室によくなじん......
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後から冷水のかかるのを待つ様な不安に襲われながら
正木不如丘 / 行路難
その事実はいきなり私を不安の海へ押し出した。
吉本ばなな / うたかた「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
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恐怖と不安とが、まるで突然天からまいおりてくる鳥のように、ひょいと彼のうちにやってくる
野間 宏 / 真空地帯 amazon
彼女の眼には不安があった。
吉川英治 / 治郎吉格子
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わけのわからない不安におそわれて、気が狂いそうになる
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
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