痩せた婆さんで、引込んだ眼や、こけた頬や、それが謙作に目刺（めざし）を想わせた。

瘠（や）せて青ざめて眼ばかり大きな子

痩せて筋張った顔

すっかり痩せこけてしまって、見違えるようだ。

丸みのある顔を顎から絞り上げたような顔つき

寝たりない腫れぼったい顔

青白い頬をぽっと赤くする

カマキリみたいに痩せた頬

筋骨はひきしまって痩せ、秀麗な額を持ち、白樺のようにすっきりしていた。

光を浴びた右頬は生き生きと輝いて深みある顔になる

額の狭いずるそうな顔

額は平凡、額の皺も平凡、眉も平凡、眼も平凡、鼻も口も顎（あご）も、ああ、この顔には表情が無いばかりか、印象さえ無い。特徴が無いのだ。たとえば、私がこの写真を見て、眼をつぶる。既に私はこの顔を忘れている。部屋の壁や、小さい火鉢は思い出す事が出来るけれども、その部屋の主人公の顔の印象は、すっと霧消して、どうしても、何としても思い出せない。画にならない顔である。漫画にも何もならない顔である。眼をひらく。あ、こんな顔だったのか、思い出した、というようなよろこびさえ無い。極端な言い方をすれば、眼をひらいてその写真を再び見ても、思い出せない。

化粧を落としたなんともいえん植物のような顔

酒気を帯びているのでは思うほど血色がいい

荒みきった神経質な顔