時々、すごい景色を見ると、見せてやりたいな、と思い、日本恋しさとあいまってとても会いたくなります。

彼の心はあの女から離れることがどうしてもできない

スタジオで彼女がエアロビクスを教えている時刻だった。おばさんとおばさんとおばさんの肉体の海の向こうに細すぎる彼女の 身体 がまるでダリの彫刻みたいに無理な姿勢で静止しているように見える。あまりにしなやかに動いているので、どのポーズも止まって見えるのだ。どんなに激しい音楽が鳴っていても、彼女だけが音のない世界にいるように見えた。

煩悩（ぼんのう）の迷（まよい）

彼がいなくなってもすぐまた新しい素敵な男の人が、亜美ちゃんが歩む道にぽこりぽこりと生え出てきて、また新しい彩りを添えた。紳士服店のディスプレイ棚のなかに、色とりどりの様々な柄のネクタイが、くるくると巻かれて収納されているのと同じように、亜美の人生のなかには様々な色どりの良い男たちが収納されているのかもしれない。

「……守ちゃんが女の脚の話なんかすると、ゾッとするわ」股の隙間を手探りされたような不快感で、蜜枝は首をすくめた。

性欲を解き放ったあとの男の人は、すさんでいる、とまではいかないけれど、ぶっきらぼうな、少年のころの瞳に戻る。男の人たち自身は〝賢者モード〟なんて呼んでおちゃらけているけど、じっさいはどんなときよりも、一匹で山を歩くおおかみみたいな顔つきをしている。

魂に刻まれた遠い憧れのように愛しい

海辺の朝らしい爽やかな情欲

心の中に何かがぽっと点火されたようなほの温かさ

喋りようによっては激した下品なものになる話を、静かな水が流れるように、ときには愛らしくさえ聞こえる旋律で伝える

惚れていた時分は神々しく思えた杉子の 中高 な顔まで卑しく見えた。

女を紙屑のように捨てる

（二人が一つになるという）結婚という接木

子供をその温かい愛の翅（はね）で包むことが出来た。