酒場というよりカフエだった。

「外人の考えた日本人」みたいな制服を着て行きかう店員

昭和のポスターのレプリカや提灯でレトロ間を演出

一日はたらいたのちの疲れを、酒やビールにいやす人びとがぎっしりとつまっていた。

夜の部で、酒も出しているが、決していかがわしくない古いタイプの小さな店だ。昔マスターがヒッピーをやっていて、学園祭みたいな内装の、よくある店だ。

黙秘権を告知して、取調べを始める

（高級レストラン）サービス係がいちいち椅子を引いてくる

（プール後の授業）「よくさぁ、夏、プールの後ってくたびれて授業中熟睡しちゃうことがあるじゃない。ほら、あの感じ。体がまだ半分泳いでるようなね、心地良くて、陽がたくさん当たって。それで先生の声がとおーく、子守歌になっちゃって、ぐうぐう寝ちゃうのよね。それで、ぱっと目が覚めると、五分くらいしか寝てないのに、なぜかしらすごくいっぱい寝たような不思議な気分にならなかった？」 「なった、なった。やっぱり熟睡だからだろうな。」 「まわりはなにも、変わってないの。先生は相変わらず黒板になにか書いてしゃべってるし、みんなも変化がなくって、体がほんのりあったかくって、窓の外は晴れてて、なにもさっきと変わってないのに、私だけ急にそこに降ってわいちゃったみたいな変な感じで、なんだかとても誰かとなにかしゃべりたいような不安な気がして、ねえって振り向くと智明くん、必ず！　寝てるの。おかしかったあ。ぼうぜんと智明くんの眠る背中を見て、笑いながらまた前向いて、……懐かしいなあ。」

（道頓堀川）夜、幾つかの色あざやかな光彩がそのまわりに林立するとき、川は実像から無数の生あるものを奪い取る 黯 い鏡と化してしまう。不信や 倦怠 や情欲や野心や、その他まといついているさまざまな 夾雑物きょうざつぶつ をくるりと 剥いで、鏡はくらがりの底に簡略な、実際の色や形よりもはるかに美しい虚像を映し出してみせる。

油っぽい海が工場の常夜灯の光をてらてらと照り返している