法廷の表現・描写・類語
(傍聴席は)四席一ブロックが三つ並んで一列。それが三列あって三十六席。大手の新聞やテレビの報道記者には最前列に記者席が設けられているが、マスコミ陣はもちろんそれだけではない。週刊誌やフリーの記者などもこぞってやってきているようだ。 勲ら裁判官が入廷した瞬間から、傍聴席の後方中央に設置されたNHKのテレビカメラが回り始めている。報道各社を代表しての撮影だ。カメラクルーの隣には 訟廷 管理官 がストップウオッチを片手にして立ち、撮影時間として取り決められている二分間を計っている。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
(死刑を言い渡す)その裁判の時間が訪れた。被告人の顔も青かったが、裁判長の顔も負けず劣らず青かった。 「まず判決理由から読んでいきます」 裁判長は言った。主文を後回しにするということは、十分に死刑判決があり得ることをほのめかすものである。被告人は初めこそ金縛りに遭ったように固まっていたが、途中から判決理由の読み上げそっちのけで 嗚咽 を洩らし始めた。嗚咽というよりは 慟哭 に近かった。法廷内にその声が響いた。 それを聞いて、裁判長の朗読もおかしくなった。声が震えて進んでいかない。真っ青になり、 喘ぐように息をしている。 主文。被告人を死刑に処す……。 そこのところはもうほとんど言葉になっていなかった。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
ナカシマ側の弁護士は、着実に裁判官の心を 摑 み、ポイントを稼いだ気がする。
池井戸潤「下町ロケット (小学館文庫)」に収録 amazon
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