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ふだんは何事もなかったように忘れ果ててはいるものの、思いも寄らないきっかけにふと胸を引き締めて巻き起こって来る不思議な情緒
有島武郎 / 或る女(後編) ページ位置:15% 作品を確認(青空文庫)
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フラッシュバック・走馬灯のように蘇る記憶
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前後の文章を含んだ引用
......るのを感じた。嫌悪けんおの情にかきむしられて前後の事も考えずに別れてしまったのではあったけれども、仮にも恋らしいものを感じた木部に対して葉子がいだく不思議な情緒、――ふだんは何事もなかったように忘れ果ててはいるものの、思いも寄らないきっかけにふと胸を引き締めて巻き起こって来る不思議な情緒、――一種の絶望的なノスタルジア――それを葉子は倉地にも倉地の妻にも寄せて考えてみる事のできる不幸を持っていた。また自分の生んだ子供に対する執着。それを男も女も......
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胸(むね)
・・・1.体の前面で、首と腹との間の部分。また、その内側にある心臓や肺臓、胃などの内臓。
2.(胸に宿るとされている、)心。想い。心中。
3.乳房(ちぶさ)。おっぱい。
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