何でも自由に望みのものが生れそうな力を孕（はら）んだ楽しい気分が充ちて来た。

ふとした拍子に、お腹の中をくすぐられているような笑いが込み上げ、その都度、コーヒーをこぼしてしまわないように、コップをしっかりと握りしめてしまいます。

しみじみとした楽しさ

くすくす笑いじゃなくて、胸の辺りから笑いの漣がこみ上げてくる感覚

ウキウキする

悲しいほど澄んだ彼女の笑い声は、彼の心の殻をむなしく叩いて消えていく

心が躍る

心をくすぐる

眉はひそめながらも心は嬉しがって顔一杯に艶々しい色が漂う

（幸福とは）道端にはしきりにそこいら中の人を呼びとめて「幸福とは何だと思いますか」と必死にたずねている人達がいた。《…略…》しかしそのおかげで、急ぐ私の心には一瞬、幸福を想う残像がすーっと桃色の尾をひいた。幸福をうたういくつかの名曲のメロディーも、次々と心に流れたような気がした。 　しかし、と私は思った。 　決して届かないふうなところに、もっと強く金色に光るイメージがあって、みんなが本当に欲しいのはそれなような気がする。希望とか、光とかを全部集めたよりももっと強烈なもの。 　それは、駅前で幸福についてたずねているとどんどん逃げていってしまい、お酒を飲みすぎるとぐんと近づいてきて、あたかも手に取れそうに思えるもの。

晴れやかな顔になる

人はこぶしを強く握りながら笑えない

自然に筋肉が弛むような微笑み

突拍子もない声で笑う

心が伸びるような気がする