弾丸のような勢いで両足にタックルする

お尻に火がついたみたいに突っ込む

狂気のように突っ込んでくるカミカゼ

群がる犬の中に、隕石（いんせき）のような勢いで、馬を乗り入れる

肩で突っかかるように向かっていく

一突きにおれの胸へ刺（さ）した。何か腥（なまぐさ）い塊（かたまり）がおれの口へこみ上げて来る。が、苦しみは少しもない。ただ胸が冷たくなると、一層あたりがしんとしてしまった。ああ、何と云う静かさだろう。この山陰（やまかげ）の藪の空には、小鳥一羽囀（さえず）りに来ない。ただ杉や竹の杪（うら）に、寂しい日影が漂（ただよ）っている。日影が、――それも次第に薄れて来る。――もう杉や竹も見えない。おれはそこに倒れたまま、深い静かさに包まれている。

鋸（のこぎり）でこの大岩を蒲鉾（かまぼこ）のように切って

妻楊枝をガムのように噛（か）んでいる。

ひょいと、からだを折り曲げ、飛鳥の如く身近かの一人に襲いかかり

右の拳を下からえぐってみぞおちに入れた。支えをなくした男の体は、前のめりになってその場に崩れ落ちる。