装飾のない簡素な生活

もらわれて行く犬の仔（こ）のように、毛布問屋へ住み込む

家庭の危機というものは、台所の天窓にへばりついている守宮（やもり）のようなもの

小さいけど家族が集う家

暮らしのどこかに空虚な穴が開く

天蓋のように覆い被さってくる現実

ピエロは高いところから飛び降りる事は上手だけれど、飛び上って見せる芸当は容易じゃない、だが何とかなるだろう、食えないと云うことはないだろう……。

なんの展望もなくじりじりと枯れてゆくように日々は過ぎてゆく。

昼過ぎに起きて街中を目的もなく歩きまわり、ようやく気持ちが乗ってきたらなにかを書くが、気持ちが乗らなければなんにもしない生活を続けていた。《…略…》夕方頃に起きて、することのない言い訳のように散歩して、演劇のことだけをひたすら考えて、ほとんど何も思いつかないまま部屋に戻る。

貧しかった。だから、食べものの好き嫌いがないのかもしれない。