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(パラレルワールドに入り込む)どこかの時点で私の知っている世界は消滅し、あるいは退場し、別の世界がそれにとって代わったのだ。レールのポイントが切り替わるみたいに。つまり、今ここにある私の意識はもとあった世界に属しているが、世界そのものは既に別のものにかわってしまっている。そこでおこなわれた事実の変更は、今のところまだ限定されたものでしかない。新しい世界の大部分は、私の知っているもともとの世界からそのまま流用されている。だから生活していくぶんには、とくに現実的な支障は(今のところほとんど)ない。しかしそれらの「変更された部分」はおそらく先に行くにしたがって、更に大きな違いを私のまわりに作り出していくだろう。誤差は少しずつ膨らんでいく。そして場合によってはそれらの誤差は、私の取る行動の論理性を損ない、私に致命的な過ちを犯させるかもしれない。もしそんなことになったら、それは文字通り命取りになる。
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単語の意味
幾分(いくぶん)
パラレルワールド(ぱられるわーるど)
幾分・・・全体のうちの一部。ちょっと。少しだけ。
パラレルワールド・・・平行世界。今ある世界とは別の、並行して存在する別の世界。今の世界と似ているけど、少し違いがある世界。「もしあの時こうだったら、世界はこうなっていた」というフィクションでよく用いられる。
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あり得たかもしれない、まったく別世界の、別の人生
平野啓一郎「ある男」に収録 amazon
絵の間違い探しと同じだ。ここに二つの絵がある。左右並べて壁に掛けて見比べてみても、そっくり同じ絵のように見える。しかし注意深く細部を検証していくと、いくつかの些細なものごとが異なっていることがわかる。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
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この世界にもう一人の僕が存在していて、今頃どこかのバーで気持良くウィスキーを飲んでいるような気がしはじめた。そして考えれば考えるほど、そちらの僕の方が現実の僕のように思えた。どこかでポイントがずれて、本物の僕は現実の僕ではなくなってしまったのだ。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
巨大な蟻塚のような高度資本主義社会
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
世界──そのことばはいつも僕に象と亀が懸命に支えている巨大な円板を思い出させた。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
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