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(カセットデッキのボタンを押したが録音されていなかったという記憶)ずっと記憶の底に沈んでいたにもかかわらず、人差し指に残るボタンの手触りも、デッキから流れる無音の気配も、浮上してくる感覚はひどく生々しかった。
小川 洋子 / 一つの歌を分け合う「口笛の上手な白雪姫」に収録 ページ位置:78% 作品を確認(amazon)
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失われた記憶がよみがえる
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前後の文章を含んだ引用
......て、皆が笑った。従兄も伯母も笑っていた。ちびが一人前のことをしようとしてしくじったのを、面白がっていた。話はそれきりで、皆すぐに録音のことなど忘れてしまった。 ずっと記憶の底に沈んでいたにもかかわらず、人差し指に残るボタンの手触りも、デッキから流れる無音の気配も、浮上してくる感覚はひどく生々しかった。ようやく僕は自分の失敗の重大さに気づき、呼吸が荒くなるのを抑えきれなかった。もしあの時、僕が正しいボタンを押してさえいれば、伯母は今でも従兄の歌声を聴くことがで......
単語の意味
手触り(てざわり)
人差し指(ひとさしゆび)
無音(むおん・ぶいん)
手触り・・・1.手で触ったときの感じ。手に受ける感触。
2.物から直接受ける感じ。印象。
2.物から直接受ける感じ。印象。
人差し指・・・親指のとなりの指。親指と中指の間の指。人を指差すときに使う指。人に指示するや、何かを指し示すときに使う指。英語で index finger。食指(しょくし)。塩舐め指・塩嘗め指(しおなめゆび)。第二指(だいにし、親指から二番目のため)。
無音・・・1.(「むおん」と読んで)音がしないこと。また、音が一切聞こえないこと。
2.(「ぶいん」と読んで)挨拶するのが適切であるのに、挨拶のないこと。また、しばらく便りをしないこと。音信が途絶えること。(ご)無沙汰(ぶさた)。
2.(「ぶいん」と読んで)挨拶するのが適切であるのに、挨拶のないこと。また、しばらく便りをしないこと。音信が途絶えること。(ご)無沙汰(ぶさた)。
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