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冷たく光る刀身は、抜けばたちまち大気中の蒸気を表面に集めるが、それは一点の曇りもない清冽な肌合いを持ち、たぐいなき刃には歴史と未来が秘められている。そり返った細身の背は、精妙と優雅さと最大の強度を一つに結ぶ。これらのすべてが私たちに力と美、畏敬と恐怖の混在した感情を抱かせるのである。
新渡戸稲造 訳:岬龍一郎「いま、拠って立つべき“日本の精神” 武士道 (PHP文庫)」に収録 ページ位置:59% 作品を確認(amazon)
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刃物(ナイフ・剣・刀)
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前後の文章を含んだ引用
......まれたのか、それとも彼が祈った神仏の霊気が宿ったからであるのか。トレドやダマスカスの剣よりも優る名刀には、完璧な芸術品というより、芸術以上の何かが伝わってくる。冷たく光る刀身は、抜けばたちまち大気中の蒸気を表面に集めるが、それは一点の曇りもない清冽な肌合いを持ち、たぐいなき刃には歴史と未来が秘められている。そり返った細身の背は、精妙と優雅さと最大の強度を一つに結ぶ。これらのすべてが私たちに力と美、畏敬と恐怖の混在した感情を抱かせるのである。 もし刀剣が美と喜びだけの工芸品であったならば、その役目も無害であっただろう。だがそれは常に手を伸ばせば届くところにあったので、乱用への誘惑、すなわち斬りたいと......
単語の意味
清冽(せいれつ)
優雅(ゆうが)
精妙(せいみょう)
類ない・類いない(たぐいない)
肌合い・膚合い(はだあい)
背(せ)
清冽・・・水が汚れなく清らかで、冷たいこと。また、そのさま。
優雅・・・上品で美しいこと。気持ちや雰囲気にゆとりがあるさま。
精妙・・・細かな部分まで行き届いているさま。精密で巧み。
類ない・類いない・・・同じ種類や程度のものが無い。他に比べるものが無いくらい、程度が違う。
肌合い・膚合い・・・1.物や皮膚に触れたときの感触。肌ざわり。
2.人や作品に接したときに受ける、感じや印象。また、人の気性や性質。
2.人や作品に接したときに受ける、感じや印象。また、人の気性や性質。
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刃物(ナイフ・剣・刀)の表現・描写・類語(武器のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(斧)鬼神のごとく斧を振り、若木を切り倒しながら
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
釜が不気味な動物を思わせる青黒い光を放つ
安岡 章太郎 / 海辺の光景 amazon
木挽きが大木を切り倒す幅の広い鋸(のこぎり)のような刀
川端 康成 / 掌の小説 amazon
(ギザギザの刃をつけた鎌は)不気味な動物をおもわせる青黒い光りを放ちながら
安岡 章太郎 / 海辺の光景 amazon
骨を切る音が鈍く響いて、横に薙 いだ太刀の光が、うすやみをやぶってきらりとする。
芥川龍之介 / 偸盗
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妻の羽織ったウィンドブレーカーのポケットでは予備の散弾がじゃらじゃらという乾いた音を立てていた。《…略…》女が体の角度を変えるたびに、ポケットの散弾が枕のそば殻のような音を立てた。
村上春樹 / パン屋再襲撃「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
鋸(のこぎり)がざっくんざっくんと眠いような音を立てる
本庄 陸男 / 石狩川〈上〉 amazon
引き裂くような機銃の音
梅崎 春生 / 桜島 amazon
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