(不安が消える)パルコの光が優しく見えたのは初めてだった。《…略…》井の頭線の車内から見える夜景を美しいと思える余裕すらあった。
又吉直樹「劇場(新潮文庫)」に収録 ページ位置:10% 作品を確認(amazon)
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荒れた気持ちが穏やかになる
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前後の文章を含んだ引用
......ぜ僕はすぐに一番強いものを決めたがるのだろう。「それより、あの犬なんだったんだろうね」とその人は言った。 夜の匂いのする公園通りを抜けて渋谷駅まで二人で歩いた。パルコの光が優しく見えたのは初めてだった。別れ際、最後はどうやって離れればいいのかわからなかったので、少しだけ走ってしまった。その人はいつまでも手を振ってくれていた。 得体の知れない男からようやく解放された安堵が、顔に浮かんだ。勝手に巻き込んでおきながら、僕の身体にも一人になれた解放感があった。電車に乗るまでの足取りは軽かったし、井の頭線の車内から見える夜景を美しいと思える余裕すらあった。いつまでもつだろうか。次に不安が押し寄せて来るのはいつだろうか。それを考えないように。視界が狭くなって叫びたくなったら今のこの感じを思い出せばいい。そしたら余裕......
単語の意味
夜景(やけい)
夜景・・・夜の景色。
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