氷がひどく侘しい音を立てる

水がガラス板をしいたように凍る

川の上におちるのや、庭のおち葉をたたきながらはねかえる霰は、まるで純白の玉を飛ばしたようであった。

（冬の川）雲母（きらら）を浮かしたような薄氷が張っていた。

飛び散る氷の、息を飲むようなきらめき

庇（ひさし）から雪解けの滴りが雨のように流れる

断崕（だんがい）の出鼻に降り積もって、徐々に斜面をすべり下って来ていた積雪が、地面との縁（えん）から離れて、すさまじい地響きとともに、何百丈の高さから一気になだれ落ちる。巓（いただき）を離れた時には一握りの銀末に過ぎない。それが見る見る大きさを増して、隕星（いんせい）のように白い尾を長く引きながら、音も立てずにまっしぐらに落として来る。あなやと思う間にそれは何十里にもわたる水晶の大簾（おおすだれ）だ。ど、ど、どどどしーん‥‥さあーっ‥‥。広い海面が目の前でまっ白な平野になる。

雪に吸いとられた音という音が、そこらに潜んででもいるかのような静けさ

門柱の上に、雪が伏せた 椀 のようになって積もっていた。

積もるような降り方ではないし、コートの肩に触れるとすぐに溶けてしまう、都会の雪だ。