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蛇口から水が細く縒れて垂れる
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蛇口・水道(水)
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単語の意味
縒る・撚る(よる)
縒る・撚る・・・細長い糸状のものをひねる。複数の糸状のものをねじり合わせる。
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蛇口は人差し指くらいの細さしかない。その先端はなにかを排泄しようとしてそのまま止まってしまったかのようにふたつ段々がついている。その先から透明なものが、緩やかに、緩やかに現れる。まわりの景色がその表面に映っている。洗面台が、白い壁が、麻理子の顔が、その中に閉じ込められている。それは見つめているとどんどん膨らんでゆく。そして品がないくらいまで大きくなると、一瞬涙の形を浮かべ、そしてぴたんと落ちる。
また一滴垂れる。その瞬間には次の粒が蛇口から顔を出し始める。まったく同じことを繰り返してゆく。徐々に大きくなってゆき、その表面を震わせ、線香花火の玉のようにぴたん落ちる。次が蛇口から現れる。わずかに付着していただけのちっぽけな水は、やがて仲間を吸収し、ぷくりと垂れ下がり、蛇口の先端から離れて離れてとうとう千切れる。
瀬名 秀明 / パラサイト・イヴ amazon
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店というよりはテントだった。見覚えはあった。小学校の運動会のたび、校長やらPTAの会長やらが収まっていたテントに似ている。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
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