もう、嘘でもいいから謝ってしまおうか……。 　言葉の凶器に打ちのめされ、すべてがどうでもよくなるような敗北感があった。

（えん罪被害者）私はあの事件以来、何かあれば真っ先に疑われる人間になってしまったんです。《…略…》冤罪というのは、世間の人たちにとってはシロではなく灰色なんだなとつくづく思い知らされました

「だいたい、あれは警察に強要され、誘導された供述だしな」義父が言う。 「強要されたからって、やってもいないことを簡単に認めるものなの？」 「冤罪に無知な人はそういう疑問を持つんだよ。実際の取り調べは並みの人では耐えられないほど過酷なんだ。

見込み違いの捜査で身に覚えのない罪を着せられ

濡れ衣を着せられてしまう。

街を抜ける大きな交差点の所で、私も柊もほんの少し気づまりを感じる。そこは、等とゆみこさんの事故の現場だった。《…略…》ひそやかに厳粛な気持ちが訪れる。愛する者の死んだ場所は未来永劫時間が止まる。もし、同じ位置に立てたなら、その苦しみも伝わるといいと人は祈る。よく観光で城なんかに行き、何年前、ここを誰々が歩いたのです、体で感じる歴史です。とか言うのを聞く度に、なに言ってんだと思ったものだが、今は違う。わかる気がする。

騒動が水を打ったように静まる

丸子橋や多摩堤通りを無数の野次馬や報道陣が埋め尽くし、報道機関のヘリコプターまでが上空に飛来した

暴動という嵐

ラリっている