引きつるような響きでなりつづけていた低いベルの音
野間宏 / 第三十六号「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 ページ位置：89% 作品を確認（amazon）
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鈴・ベル
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......守の方に向けた。「よし、よし。」看守が言った。「まだいい、まだいい、俺が立てというまで、待っていればよい。」 そして、第三十六号は再び顔を元にかえした。 やがて引きつるような響きでなりつづけていた低いベルの音が止んだ。すると横の廊下にあわただしい多くの靴の音がし始め、どこかで重いドアが開いたりとじられたりする響きが聞えてくる。そしてこちらへ近づいて来る長靴の皮のきし......
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