(タン)彼は血の痰を見てももうなんの刺戟 でもなくなっていた。が、冷澄な空気の底に冴 え冴 えとした一塊の彩 りは、何故かいつもじっと凝視 めずにはいられなかった。
梶井基次郎 / 冬の日 ページ位置:4% 作品を確認(青空文庫)
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唾液・よだれ・つば
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前後の文章を含んだ引用
......の洗濯は夙 うに済んでいて、漆喰 は乾いてしまっている。その上へ落ちた痰は水をかけても離れない。堯 は金魚の仔でもつまむようにしてそれを土管の口へ持って行くのである。彼は血の痰を見てももうなんの刺戟 でもなくなっていた。が、冷澄な空気の底に冴 え冴 えとした一塊の彩 りは、何故かいつもじっと凝視 めずにはいられなかった。 堯はこの頃生きる熱意をまるで感じなくなっていた。一日一日が彼を引き摺 っていた。そして裡に住むべきところをなくした魂は、常に外界へ逃れよう逃れようと焦慮 っていた......
単語の意味
冴え冴え(さえざえ)
凝視(ぎょうし)
冴える・冱える(さえる)
冴え冴え・・・1.とても澄んでいて、少しの陰りもないさま。晴れ渡っているさま。さわやかなさま。
2.冬の厳しい寒さが身にしみるさま。
2.冬の厳しい寒さが身にしみるさま。
凝視・・・目を凝らして一点を見つけること。目を大きく見開いてじっと見つめること。
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吉川英治 / 醤油仏
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井上 友一郎 / 牡丹「日本の文学〈第64〉井上友一郎,田宮虎彦,木山捷平 (1970年)ハイネの月 菜の花 足摺岬 絵本 牡丹 大陸の細道 初恋 他」に収録 amazon
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