誰にも煩わされる事なく、越年する草木のように黙って暮したい。

生活は相変らず単調であった。生活は狭く無表情に廻転している。

とぐろ巻いて暮す

飢饉なしの江戸時代のように安泰

ここは、時間が流れていないかのように静かだった。どんどん吸い込まれて、抜け出せなくなるような深さがあった。

静かな川の流れのように穏やかに暮らす

吹けば飛ぶような生活

不思議な家族だ、と僕はあらためて思った。宇宙家族。行動派作家と天才女流写真家と霊媒的少女とゲイの書生と詩人のボーイフレンド。やれやれ。僕はこのサイケデリックな拡大家族のなかで一体どういう位置を占め、どういう役割を果たしているのだろう？

年寄りと二人で暮らすというのは、ひどく不安なことだ。《…略…》私は、いつもいつでも「おばあちゃんが死ぬのが」こわかった。《…略…》私は心の中でいつも、たったひとりの家族を気にかけていた。 　部屋のすみに息づき、押してくるそのぞっとするような静けさ、子供と年寄りがどんなに陽気に暮らしていても、埋められない空間があることを、私は誰にも教えられなくてもずいぶん早くに感じとった。

実家では私はなにもすることがなく、毎日、毎日、本当の休日です。