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時折、何に驚いたのか、雑木林の中で一匹の油蟬がチ、チと飛びたつ。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 ページ位置:66% 作品を確認(amazon)
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蝉(せみ)
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......飲んでいた。訛声や皿のカチカチとふれ合う音が何時までも聞えた。司祭は格子窓から洩れる銀色の月光を、肉の落ちた肩に浴びながら正坐していた。瘦せた影が板壁にうつり、時折、何に驚いたのか、雑木林の中で一匹の油蟬がチ、チと飛びたつ。くぼんだ眼をつぶり、彼は闇のふかさにじっと耐える。自分の知っている人、自分の知っている者たちがすべて眠っているこの夜、司祭の胸の裏を抉るように横切るのは、同じよ......
単語の意味
雑木(ぞうき)
雑木・・・いろいろな木々。炭や薪にする以外使えない木の総称。
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蝉のトンネルとでも云いたいほど、騒々しく鳴きしきる
里見 トン / 美事な醜聞「初舞台・彼岸花 里見トン作品選 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
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