時折、何に驚いたのか、雑木林の中で一匹の油蟬がチ、チと飛びたつ。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 ページ位置:66% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
蝉(せみ)
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......飲んでいた。訛声や皿のカチカチとふれ合う音が何時までも聞えた。司祭は格子窓から洩れる銀色の月光を、肉の落ちた肩に浴びながら正坐していた。瘦せた影が板壁にうつり、時折、何に驚いたのか、雑木林の中で一匹の油蟬がチ、チと飛びたつ。くぼんだ眼をつぶり、彼は闇のふかさにじっと耐える。自分の知っている人、自分の知っている者たちがすべて眠っているこの夜、司祭の胸の裏を抉るように横切るのは、同じよ......
単語の意味
雑木(ぞうき)
雑木・・・いろいろな木々。炭や薪にする以外使えない木の総称。
ここに意味を表示
蝉(せみ)の表現・描写・類語(昆虫・虫のカテゴリ)の一覧 ランダム5
鼻のつまったようなみんみん蝉の声
長塚 節 / 土 amazon
ちりちりともつれたように短い啼音(なきね)を立てて、蝉が飛び移った
三島由紀夫 / 金閣寺 amazon
裏の松林で鳴く油蝉が、濁った余韻のない響を、乾燥した空中にベルトのように吐き出していた。
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
(セミの鳴き声が)三重四重、五重にも六重にも重なって鳴いている。
梶井基次郎 / 城のある町にて
あぶら蝉 、みんみん蝉、日光山がジイ――ッと啼いているようだ。
吉川英治 / 無宿人国記
このカテゴリを全部見る
「昆虫・虫」カテゴリからランダム5
鼻のつまったようなみんみん蝉の声
長塚 節 / 土 amazon
あぶら蝉 、みんみん蝉、日光山がジイ――ッと啼いているようだ。
吉川英治 / 無宿人国記
蝉のトンネルとでも云いたいほど、騒々しく鳴きしきる
里見 トン / 美事な醜聞「初舞台・彼岸花 里見トン作品選 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
昆虫・虫 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ