(英雄の銅像)おそらくそれが建てられたころには立派な勇ましい銅像だったのだろうが、潮風やほこりやかもめの糞や、時間の経過がもたらす様々な避けがたい磨耗のせいで、顔立ちもよくわからなくなっていた。島の住民はそのうらぶれた銅像にほとんど注意を払わなかったし、銅像の方だって、世界がどうなろうが今更どうでもいいみたいに見えた。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 ページ位置:48% 作品を確認(amazon)
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象(ぞう)
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前後の文章を含んだ引用
......身体の重みで肛門からゆっくりと杭が突き刺さって、結局口まで抜けたわけだが、すっかり死んでしまうまでに時間がかかった。像はその杭のあとに建っているという話だった。おそらくそれが建てられたころには立派な勇ましい銅像だったのだろうが、潮風やほこりやかもめの糞や、時間の経過がもたらす様々な避けがたい磨耗のせいで、顔立ちもよくわからなくなっていた。島の住民はそのうらぶれた銅像にほとんど注意を払わなかったし、銅像の方だって、世界がどうなろうが今更どうでもいいみたいに見えた。「猫といえば、ひとつ奇妙な思い出があるのよ」とすみれはふと思い出したように言った。「小学校の二年生くらいのとき、生まれて半年くらいのきれいな三毛猫を飼っていたの......
単語の意味
勇ましい(いさましい)
顔立ち(かおだち)
勇ましい・・・1.死など、予想される危険や困難にひるむことなく立ち向かうさま。勇敢なさま。
2.無謀な行為で目標を達成しようと意気込むさま。周囲の非難を恐れず、大胆に行動するさま。自分の能力不足を自覚していない人の言動を皮肉っていう場合もある。
2.無謀な行為で目標を達成しようと意気込むさま。周囲の非難を恐れず、大胆に行動するさま。自分の能力不足を自覚していない人の言動を皮肉っていう場合もある。
顔立ち・・・顔全体の形。顔のつくり。顔から受ける感じ。顔つき。目鼻立ち。
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象(ぞう)の表現・描写・類語(地上の動物のカテゴリ)の一覧 ランダム5
象の鼻は尺取虫のように伸び縮みしている。
川端 康成 / 春景色「伊豆の踊子・温泉宿 他四篇 (岩波文庫)」に収録 amazon
(象の鼻は)さなだ虫のように巻いたりほぐれたりする。
鼻の頭も動物学教科書のさなだ虫の頭に似ている。
川端 康成 / 春景色「伊豆の踊子・温泉宿 他四篇 (岩波文庫)」に収録 amazon
鼻が巻き上がると、赤貝のような口が見える。
川端 康成 / 春景色「伊豆の踊子・温泉宿 他四篇 (岩波文庫)」に収録 amazon
(子供が)象のことを鼻巻き象(と呼んでいた)
梶井基次郎 / 城のある町にて
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「地上の動物」カテゴリからランダム5
虎が上野の老杉 の葉をことごとく振い落すような勢で鳴く
夏目漱石 / 吾輩は猫である
(真っ黒な老犬)庭の小さな陽だまりでうずくまっていると、色あせた古い絨毯のようだ。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー (文春文庫)」に収録 amazon
素敵だなあ、あれは。まるで鹿みたいな感じだなあ
谷崎潤一郎 / 蓼喰う虫 amazon
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