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天津 甘栗 を焼くリヤカーが、苦みの混じった香ばしい匂いを放っていた。
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 ページ位置:91% 作品を確認(amazon)
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......いする? 今晩からわしのマンションに来たってええんやでェ」「……うん」 千日前筋はほとんどの店が営業していて、もう日本髪を結った女たちが、早足で歩き去って行く。天津甘栗を焼くリヤカーが、苦みの混じった香ばしい匂いを放っていた。「こないだの話やけど……」 と邦彦が小声で言った。「ああ、まだ返事を聞いてなかったなァ」「……いや、またあとでゆっくり話をするわ」 邦彦の艶のない頬が、寒風で赤......
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