日本語表現インフォ：ピンとくる言葉や描写が見つかる辞典

（古びた人体解剖図は）内臓の部分だけは色を塗り直したばかりのように生々しかった。印刷のインクの匂いさえ漂ってきそうだった。

小川洋子 / 冷めない紅茶「完璧な病室 (中公文庫)」に収録　ページ位置：4%　作品を確認（amazon）

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......を縦割りにされた男の人の図は、たくましい威力でわたしを見下ろしていた。解剖図自体はもうかなり古く、押しピンで止めた四隅がめくれ上がってパリパリになっていたのに、内臓の部分だけは色を塗り直したばかりのように生々しかった。印刷のインクの匂いさえ漂ってきそうだった。　内臓は赤色系統で立体的に描かれていたので、わたしに赤い果肉を連想させた。例えば苺、枇杷、トマト。それも少し熟れすぎて、とろりと溶けかけた果肉だ。肺の網目模様や......

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