花の表現・描写・類語
筒状の花びらのすぼんだ付け根に口を当て、僅かに甘い蜜を吸う
松本侑子 / 植物性恋愛 amazon
猛禽(もうきん)の爪に似た棘のあるいばらが生い茂る
倉橋 由美子 / 倉橋由美子の怪奇掌篇 amazon
白い清げな衣を着た卯の花
島崎 藤村 / 三人の訪問者 amazon
蛾が巨大な群集が光をめぐっているように、花が翅(はね)を広げて灯に透かされる
伊藤 整 / 青春 amazon
落ち葉の間から不気味な色をした茸がちらりと覗く
堀 辰雄 / 美しい村 amazon
薔薇のつぼみが、どれも定規で計ったように大きさがそろっている
小川 洋子 / 余白の愛 amazon
ダリヤの茎が干枯らびて縄のように地の上でむすぼれ出した。
横光 利一 / 春は馬車に乗って amazon
大人を見上げる子供のように、仰け反って咲いていた花
上林 暁 / 薔薇盗人「昭和文学全集〈14〉」に収録 amazon
子供たちが「こんぺとう」と呼んでいるその菓子の形をした仄赤く白い小さな花
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
白い花が浮刻(うきぼり)のように咲いている
白柳 秀湖 / 駅夫日記 amazon
花の散るのを蝶々だと思ったり
正宗白鳥(忠夫) / 何処へ amazon
鮮かな花々が植物というより動物のようにうごめいて彼女をねらっていたように感じられた
中村 真一郎 / 遠隔感応 amazon
貧弱な花房で、老婆の、萎びてだらりと垂れさがった乳房のようだ
井上 ひさし / 腹鼓記 amazon
(鉢の菊は)花芯をつつんで雲のように湧きたち
中山 義秀 / 厚物咲 (1948年) amazon
赤と白との石竹の花が、漲(みなぎ)った灯(あかり)を吸うているように目立って見えた。
鈴木 三重吉 / 桑の実 amazon
(くちなし)白磁のような花
丹羽 文雄 / 顔 amazon
練菓子のように真紅な椿の花がぽってりと咲く
森田 たま / もめん随筆 amazon
辛夷(こぶし)の梢は、ぬれ紙のあんばいの花が漂う
瀧井 孝作 / 無限抱擁 amazon
(藤)ゆらゆらとたわわな紫の花房が滝津瀬のようにしだれ咲いているうつくしさ
森田 たま / もめん随筆 amazon
臘梅(ろうばい)の黄色い絹糸をくくったような花
徳田 秋声 / 縮図 amazon
海棠(かいどう)の花をながめ、今朝みた夢の血の色のようだ、などと思った。
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon
花片はことごとく紙片のようによれよれになって
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
吹き抜ける風にゆれて、藤の花房は路面一面に、花びらを豆のように撒き散らしている。
林 芙美子 / 夜猿「林芙美子文庫〈第10〉夜猿 (1950年)」に収録 amazon
その満開の花に自分の運命を象徴するような生き返りを、きっと、そのときに感じながら見ていたでしょうねぇ
水道橋博士「藝人春秋 (文春文庫)」に収録 amazon
赤い血のような豆菊や、白い夢のようなコスモスや、紅と黄色の奇妙な内臓の形をした鶏頭 が咲き乱れている
夢野久作 / ドグラ・マグラ 青空文庫
うめばちそうの白い花
宮沢賢治 / 鹿踊りのはじまり 青空文庫
コブシが白い炎のように無数の花をつけている。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
(ニワトコ)薄黄色の小さな花を鞠みたいに枝先に咲かせている木があった。花群を支える部分が暗い赤で、コントラストが目を引く。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
十五メートルはあろうかというアオダモが、泡のような白い花を頭上で揺らす。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
伊藤左千夫 / 野菊の墓 青空文庫
宮本百合子 / 伸子 青空文庫
(マロニエの花)街路樹の黒く茂った葉の中に、蝋燭 を束ねて立てたような白いほの/″\とした花
岡本かの子 / 巴里祭 青空文庫
とげとげと咲いていたあざみの花
林芙美子 / 新版 放浪記 青空文庫
(アネモネ)スカートをいっぱい拡げた子供のような可愛い花の姿
林芙美子 / 新版 放浪記 青空文庫
庭の大輪の白い菊の花が、そうめんのように、白い紙の首輪の上に開いている。不具者のような大輪の菊の花なり。
林芙美子 / 新版 放浪記 青空文庫
(花を生ける)口の広い陶器の花瓶をダイニングテーブルに持ってきた。そこに水をため、オアシスを馴染ませる。百合や蘭などの大きな花を中心に挿し、白、黄、紫の菊をバランスよく混ぜていく。隙間をカスミソウで埋めてやると、なかなか華やかに出来上がった。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
(オレンジがかった黄色のバラ)おひさまのような色で、これをテーブルの真ん中に飾ると、部屋全体がパッと明るくなりそうです。
湊 かなえ「花の鎖 (文春文庫)」に収録 amazon
赤い花が 絨毯 のように咲いている
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
(百日紅)私の知るかぎりの百日紅はみな暑くるしい、ときには 獰猛 な感じすら受ける花であるのに、「伽羅」に植わっていたそれだけは、なぜか別物のように上品で、 静謐 な感じがした。つややかな幹も、葉も、薄くれないの花も。
浅田次郎 / 伽羅「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
店の前の植込には、彼岸花がしおたれるとインパチェンスが咲いた。それが散るとシクラメンが植えられた。どれも幻のほむらのように赤く、静かな花だった。
浅田次郎 / 伽羅「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
(シクラメン)消えかかる 熾 のような赤い花
浅田次郎 / 伽羅「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
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