(百日紅)私の知るかぎりの百日紅はみな暑くるしい、ときには 獰猛 な感じすら受ける花であるのに、「伽羅」に植わっていたそれだけは、なぜか別物のように上品で、 静謐 な感じがした。つややかな幹も、葉も、薄くれないの花も。
浅田次郎 / 伽羅「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 ページ位置:8% 作品を確認(amazon)
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花
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前後の文章を含んだ引用
......ウィンドウの前の植込にインパチェンスが咲いており、かたわらに薄紅色の花をつけた樹木が植わっていた。それが百日紅であるということは、ずっとのちに知った。 しかし、私の知るかぎりの百日紅はみな暑くるしい、ときには獰猛な感じすら受ける花であるのに、「伽羅」に植わっていたそれだけは、なぜか別物のように上品で、静謐な感じがした。つややかな幹も、葉も、薄くれないの花も。 舗道から少しさがったアプローチには、瑠璃色の瓦が敷かれていた。白い夜光看板はクラシックな外観には不似合いだったが、そのかわり真鍮の把手のついた大きな扉のきわに......
単語の意味
獰猛(どうもう)
獰猛・・・乱暴な性格で、周りに危害を加えそうなさま。
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伊藤左千夫 / 野菊の墓
少し舌を出しかけたような白い辛夷(こぶし)が、にわかにぱっと開いて
長塚 節 / 土 amazon
赤い血のような豆菊や、白い夢のようなコスモスや、紅と黄色の奇妙な内臓の形をした鶏頭 が咲き乱れている
夢野久作 / ドグラ・マグラ
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海のように生い繁った熊笹
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
散る古葉が、萌黄っぽい緑に悉(ことごと)くふり落され、なにか羽の抜け変った大きな鳥のようにうっそうと若やいだその樫の老樹
野上 弥生子 / 哀しき少年「野上弥生子短篇集 (岩波文庫)」に収録 amazon
庭の大輪の白い菊の花が、そうめんのように、白い紙の首輪の上に開いている。不具者のような大輪の菊の花なり。
林芙美子 / 新版 放浪記
大人を見上げる子供のように、仰け反って咲いていた花
上林 暁 / 薔薇盗人「昭和文学全集〈14〉」に収録 amazon
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