柳の表現・描写・類語
風もない。緑の葉を豊かにつけたヤナギの枝は、地面すれすれまで垂れ下がり、深く考えごとをしているみたいにぴくりとも動かなかった。時折小さな鳥がやってきてその枝に不安定にとまり、すぐにあきらめて飛び立った。枝がかき乱された心のように僅かに揺れ、やがてまた静まった。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
柔かい芽を出した大きい、柳の木が一本、羊のようにフラフラ背を揺っていた。
林 芙美子 / 風琴と魚の町「風琴と魚の町/清貧の書 (新潮文庫 は 1-4)」に収録 amazon
風はなく、その枝は地面に向けてひっそりと垂れ下がっていた。とりとめのない思索に耽る人のように。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
振り乱れる大きな柳の緑が、人も車も途絶えた灰色の道端にぽつんと佇んでいる少年を、いまにも 絡み込んでしまいそうに思えた。
宮本 輝 / 泥の河「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
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