振り乱れる大きな柳の緑が、人も車も途絶えた灰色の道端にぽつんと佇んでいる少年を、いまにも 絡み込んでしまいそうに思えた。
宮本 輝 / 泥の河「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 ページ位置:11% 作品を確認(amazon)
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柳
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......た木箱の残骸が路面を走っていく。 信雄は二階の雨戸をかすかに開いて少年のうしろ姿を見つめた。そんなふうに一人の人間を盗み見たのは、信雄には初めてのことであった。振り乱れる大きな柳の緑が、人も車も途絶えた灰色の道端にぽつんと佇んでいる少年を、いまにも絡み込んでしまいそうに思えた。 信雄は両親に気づかれないようにして階下に降り、そっと表に出た。そして少年に近づいていった。雨に濡れることも風にあおられることも意に介さず、なぜか吸い寄せられる......
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(柳は)風が吹くと行き場を失った魂の群れのように音もなく揺れた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
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軟らかな風が涼しく吹いて松の花粉が埃のように湿った土を掩うて
長塚 節 / 土 amazon
木が手の指を空に向けて開けたように枝を張る
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