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枝の表現・描写・類語

高い欅（けやき）が半ば落葉して、細い網のような枝を空にすかしている

国木田独歩 / 武蔵野　amazon

筋力にあふれた腕のような枝

枝が、吹きつける細かな雨を吸ってだるそうに枝垂れる

木の枝のしなう音が、人間の呼吸みたいに強弱となって繰り返される

富岡多恵子 / 砂に風　amazon

木という木が野放図に枝を伸ばし、手をつないだり肩を組んで（いるよう）

永井龍男 / 青梅雨　amazon

大きな枝が人を招くようにゆらゆらと揺れる

内田百けん / 冥途　amazon

大きな樹の枝が、頭に蔽（おお）い被さるように空を遮る

夏目漱石 / 門　amazon

大波のように枝が揺れる

雲のない空に細かい枝がくっきりと黒く映る

高井有一 / 夜の蟻　amazon

蟹の爪のような梢の先端

日野啓三 / 抱擁　amazon

裸になった落葉樹の交錯する枯れ枝が空間のひび割れのよう

日野啓三 / 抱擁　amazon

すっかり葉を落とした欅（けやき）の大木が、梢を投網のように寒空に拡げている

黒井千次 / 春の道標　amazon

露わになった梢が、細い線を空に彫り付けたように見える

高井有一 / 北の河　amazon

濁った朝焼けの空を、樹々の梢がやたらにかきまわして騒ぐ

永井龍男 / コチャバンバ行き　amazon

折れ曲がった細い梢が老人の指のよう

長野まゆみ / 銀木犀　amazon

細い枝がしなやかな鹿の脚のように伸びる

長野まゆみ / 銀木犀　amazon

青柳の滝津瀬（たきつせ）のように垂れた枝

岡本かの子 / 落城後の女「岡本かの子全集〈4〉 (ちくま文庫)」に収録　amazon関連カテ柳

ペンで描いたような裸の梢

田村俊子 / 木乃伊の口紅　amazon

（樫の木の）連続した枝は一枚の霞網のように手入れされ

打木村治 / トルストイ・サロン

笠のように枝を厚ぼったく繁らせたその下で

北条民雄 / いのちの初夜　amazon

それ（百日紅の枝）はまったくすべすべして、赤ん坊の肌のようだった。

福永武彦 / 草の花　amazon

竹は苦しい呼吸をするように小さな枝が一つずつぴらりぴらりと動いて

長塚節 / 土　amazon

枯れた枝がとげとげしく寒い空間をつき剌すように、緑色の苔のある黒い姿を風の中にさらしていた。

伊坂幸太郎 / アイネクライネナハトムジーク　amazon関連カテ足音・靴音

とげとげしい櫨（はじ）の梢が、眼に痛く空を刺してゐる

芥川龍之介 / 芋粥　青空文庫

山の木が折れる音が聞こえてくる。パキン、パキンと、呆気ないほど鋭く澄んだ音をこだまさせるんだ。

三浦しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録　amazon関連カテ折る・畳む

長いあいだ枝切りをしていないおかげで、樹木は気の向くままに枝を広げていた。

村上春樹「羊をめぐる冒険」に収録　amazon関連カテ樹木・木々

大きな冬枯れの樹木があった。箒を逆にして空に冲（ひひ）らせたようなその梢

宮本百合子 / 伸子　青空文庫関連カテ樹木・木々

差し出ている楓（かえで）の枝が見えた。そのアーチ形の風景のなかを弾丸のように川烏（かわう）が飛び抜けた。

梶井基次郎 / 温泉　青空文庫関連カテ鳥類

塀ぞいの欅けやきの靭つよい枝が、赤く染まった壁に罅ひびのような黒い影を落としていた。

浅田次郎 / 悪魔「鉄道員（ぽっぽや） (集英社文庫)」に収録　amazon関連カテ夕日・西日

ひとの股の形をした枝

野間宏 / 暗い絵「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録　amazon

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