店の前の植込には、彼岸花がしおたれるとインパチェンスが咲いた。それが散るとシクラメンが植えられた。どれも幻のほむらのように赤く、静かな花だった。
浅田次郎 / 伽羅「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 ページ位置:64% 作品を確認(amazon)
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花
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前後の文章を含んだ引用
......ことすら、知ろうとはしなかった。むしろ知ることを怖れていた。「伽羅」を訪ねても、商売の話しかしなかった。そして値の張る冬物は、すべて委託の仮伝票で置いてきた。 店の前の植込には、彼岸花がしおたれるとインパチェンスが咲いた。それが散るとシクラメンが植えられた。どれも幻のほむらのように赤く、静かな花だった。 訪ねるたびに、ブローニュの商品は増えていた。秋も末になると、ほとんどブローニュのオンリー・ショップと言ってもいいくらい、ラックは銀色のアルミ製のタグで埋まった......
単語の意味
彼岸花(ひがんばな)
彼岸花・・・秋の彼岸のころに咲く赤くて怪しげな花。曼珠沙華(まんじゅしゃげ)。死人花。捨て子花。
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(鉢の菊は)砕かれた波のように渦巻いているのである。
中山 義秀 / 厚物咲 (1948年) amazon
(藤)ゆらゆらとたわわな紫の花房が滝津瀬のようにしだれ咲いているうつくしさ
森田 たま / もめん随筆 amazon
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「植物」カテゴリからランダム5
地平線のあたりに、木立の群れが不規則な間隔を置いて紫色に近い影を落とす
堀 辰雄 / 菜穂子―他五編 amazon
笹の中から亡霊的に突立っている白い死木
宮本百合子 / 伸子
銀色の雨しぶきの中で、木々の梢が海藻のように揺れ動く
遠藤 周作 / 沈黙 amazon
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