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室内の雰囲気の表現・描写・類語
扉を押して一歩入ると甘酸っぱい空気で、広いホールは薄暗い照明だが、人熱れでむせかえっていた
芝木好子 / 慕情の旅(青春の行方) amazon
女の身も自分の身も無論室中のものは椅子から、帷(とばり)から、衣服から、何から何までが、油の中へ漬けたように、しっとりとなって、湿った重い匂が、胸の呼吸を抑え付ける。
永井荷風 / ふらんす物語 amazon
家の中に木の香りを含んだ闇がひっそりと住みつく
黒井 千次 / 群棲 amazon
生牡蠣を見るような、すべてが薄青く薄白い半透明さの室内がひっそりと静まり返る
永井 龍男 / 青梅雨 amazon
欠けた歯の洞(ほら)のように我が家の窓だけが暗い中に取り残されている
森村 誠一 / 深海の迷路 amazon
鍋墨をぬったような真っ黒な室内が、古い写真の印画に似て、朦朧と浮かぶ
獅子 文六 / てんやわんや amazon
長く使っていない部屋の空気が、雪の冷たさを閉じ込めておいたように背筋をひんやりさせる
内田 康夫 / 風葬の城 amazon
(オフィスの)窓は広く、大通りに面していたが、騒音はまったく聞こえない。初夏の陽光が、部屋の床に敷かれた無地のカーペットの上に落ちていた。品が良く、怠りのない光だった。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
狭い部屋を機能的に使おうとする工夫があちこちで見られる。布団はきれいに畳まれ、部屋の隅に重ねてあった。ベッドを置くスペースはなく、かといって布団を収納できるだけの押し入れもない。机の代わりに、冬はこたつになる座卓が置かれて、《…略…》(壁の一部を埋める本棚の)一部分にデッキ一体型のテレビがすっぽり収まっていた。他の家電製品も、すべて部屋の狭さを考慮した上で購入したのだろう。あるべきところに収まるといった格好で、備え付けの家具のように見事に配置されている。
鈴木 光司 / らせん amazon
四月も半ばだというのに、部屋は冷え冷えしていた。冬のあいだに浸み込んだ冷たさがまだ居座っているようだ。その部屋がそこを訪れる誰をも歓待するまいと堅く心を決めてから、ずいぶん長い歳月が経過したように見えた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
部屋の中には新築の建物特有の匂いがした。置かれている家具も電気製品もすべてまったくの新品らしく、使用された形跡は見当たらなかった。きつと箱から出して、ビニールの包装を解いたばかりなのだろう。それらの家具や電気製品は、マンションのモデルルームをしつらえるために、デザイナーによって一括して買い揃えられたもののように見えた。シンプルなデザインで、機能的で、生活の匂いが感じられない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
工場の一隅(いちぐう)の、鳩の巣のように出来ている吊り二階
宮地嘉六 / 煤煙の臭い
(部屋)まわりは分厚いコンクリートの壁にかこまれているために、なかに坐るとまるで塔か煙突の中にいるようだ。
安岡 章太郎 / 海辺の光景 amazon
谷間のようにくらいへこんだ部屋
野間 宏 / 真空地帯 amazon
百姓家らしい古畳の二階《…略…》狐狸の棲家のようであった。
川端康成 / 雪国 amazon
天井には山小屋の垂木みたいな黒い梁が渡されていて
中島 京子「小さいおうち (文春文庫)」に収録 amazon
奇麗な家 から急に汚ない所へ移ったので、何だか日当りの善い山の上から薄黒い洞窟 の中へ入 り込んだような心持ちがする。
夏目漱石 / 吾輩は猫である 青空文庫
宿直室みたいな四畳半の部屋
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
自然の暴威をせき止めるために人間が苦心して創 り上げたこのみじめな家屋という領土がもろく小さく私の周囲にながめやられた。
有島武郎 / 生まれいずる悩み 青空文庫
若葉ちゃんの家は、紅茶と玄関のラベンダーの匂いが微かにして、家の匂いしかしない私や信子ちゃんの家とは、少し違うという感じがする。
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 amazon
十六畳と八畳と六畳との部屋が鍵形 に続いていた。
有島武郎 / 或る女(後編) 青空文庫
顔色が黄色く見えるほどその日の空も部屋の中も寂 れていた。
有島武郎 / 或る女(後編) 青空文庫
十二畳ほどの二方硝子窓の洋間に畳が敷詰めてある。
岡本かの子 / 雛妓 青空文庫
私の部屋はいい部屋です。難を云えば造りが薄手に出来ていて湿気などに敏感なことです。
梶井基次郎 / 橡の花――或る私信―― 青空文庫
部屋は実に雑然と古本屋の観があった。
林芙美子 / 新版 放浪記 青空文庫
家の中は敦子の宇宙だ。女は小さな分身の小物で家をいっぱいにする。
吉本 ばなな / 新婚さん「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
ブルースっぽい乾いた部屋
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 amazon
資料がいちめん 貼ってある壁。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 amazon
あんまり仕切りのない家で、きょうだい五人、ざこ寝をしてた。
吉本 ばなな「アムリタ(上) (新潮文庫)」に収録 amazon
リビングはL字型をしていて、そこに和室が嵌まるような間取りになっている。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
二人が通されたのは、八畳の和室だった。庭先からツクツクボウシの鳴き声が響いている。どこかに仏壇でもあるのか、日下は鼻先に線香の匂いを感じた。室内は整然としており、冷房が効いている。
翔田 寛「真犯人 (小学館文庫)」に収録 amazon
小さな箱のようなマンション
吉本ばなな / うたかた「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
部屋にある物一つ一つが、彼女の話にじっと耳を傾けているような気がした。
小川洋子 / 冷めない紅茶「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
まるで大きなさいころみたいな、飾りのない真四角な部屋だった。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
リビングと多分寝室と小さなスタジオしかない家なのに、豊かな空間を感じた。 窓の外の植物が家を抱きかかえているようだからだろうか。
よしもとばなな / まぼろしハワイ「まぼろしハワイ」に収録 amazon
(座敷)綺麗に掃除の出来た小さい庭に面した座敷
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
白と紫のよく調和したリビングルーム。
阿刀田 高 / 来訪者「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
六畳が縦に二つ並んだ旧式の間取り
浅田次郎 / ラブ・レター「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
正方形の、十坪ほどの店だった。
浅田次郎 / 伽羅「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
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