(小説家)小説家は、意識的・無意識的を問わず、いつもどこかで小説のモデルとなるような人物を捜し求めている。《…略…》モデルとして 相応しいのは、その人物が、極めて例外的でありながら、人間の、或いは時代の一種の 典型 と思われる何かを備えている場合で、フィクションによって、彼または彼女は、象徴の次元にまで醇化されなければならない。
平野啓一郎「ある男」に収録 ページ位置:1% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......もう長らく彼とは会っておらず、多分、二度と会うこともないだろう。彼が店を訪れなくなったことを──その「必要」がなくなったことを──私は良い意味に解釈している。 小説家は、意識的・無意識的を問わず、いつもどこかで小説のモデルとなるような人物を捜し求めている。ムルソーのような、ホリー・ゴライトリーのような人が、ある日突然、目の前に現れる僥倖を待ち望んでいるところがある。 モデルとして相応しいのは、その人物が、極めて例外的でありながら、人間の、或いは時代の一種の典型と思われる何かを備えている場合で、フィクションによって、彼または彼女は、象徴の次元にまで醇化されなければならない。 波瀾万丈の劇的な人生を歩んできた人の話を聞くと、これは小説になるかもしれないと思うし、中には「小説に書いてもいいですよ。」と微妙な言い回しで自薦する人もいる。......
単語の意味
象徴(しょうちょう)
象徴・・・シンボル。ある意味を表す記号。具体的でない考えや物事、分かりやすく説明するための用いるもの(こと)。
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同じテイストの筆致で、同じテイストの情景が描かれ、わたしは途中から飽きた。似たようなフレーズが繰り返され長々と続くジャズのインプロビゼーションを聞いているようだった。
村上龍の書いた書評「文藝春秋 2015年 09 月号 [雑誌]」に収録 amazon
日本の文学者が、好んで不安という側からのみ社会を描き出すのを、舶来の唐物のように見なした。
夏目 漱石 / それから amazon
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