ほころびかけた蕾のような年頃

人間にすれば十五、六といったところだろう。切ない歳だ。

春が来て、木の芽から畳の床（とこ）に至るまですべてのものが膨（ふく）らんで来た。愛子も貞世も見違えるように美しくなった。その肉体は細胞の一つ一つまで素早（すばや）く春をかぎつけ、吸収し、飽満するように見えた。《…略…》貞世は生命そのものだった。秋から冬にかけてにょきにょきと延び上がった細々したからだには、春の精のような豊麗な脂肪がしめやかにしみわたって行くのが目に見えた。

私は十六歳で、大人とはまだ言えないし子供でもなく

和一郎は、恋愛模索時代であった。憧憬、不安、熱情が、時々激しく彼の精神を揺（ゆす）ぶるらしかった。

（戦争体験を話す老人）話をしている時の谷川はまるで青年に見えた。輝きに満ちた 精悍 な若者の姿に見えた。

（若気の至り）若い年齢の持つエネルギーを止めることは誰にもできなかった。

男の人は、あんまり豊かでもなさそうだったけれど、若者の持つりりしい強さが、あたりを圧していた。

（未熟）押せば青汁の出そうな、まっ青な青年

早く日の目を見ようとして、動いている胎児