リチャードは、その一言というより、その時の洋子の目に、突如、感情を爆発させた。決して厳しく責め立てるわけではなく、むしろ、彼の人間性そのものを映し出そうとするかのような曇りのない瞳だった。彼女に対するほとんど憎しみに近い反発が、心中でわだかまっていたあらゆる感情へと延焼し、彼自身も、手が着けられなくなってしまった。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 ページ位置:68% 作品を確認(amazon)
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頭に血がのぼる・逆上する・キレる
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前後の文章を含んだ引用
......囲内では、何の責任もないとリチャードは改めて洋子に理解を求めた。洋子は、それについての態度を保留したままで、ただ、「あなたは、それでいいの?」 と尋ね返した。 リチャードは、その一言というより、その時の洋子の目に、突如、感情を爆発させた。決して厳しく責め立てるわけではなく、むしろ、彼の人間性そのものを映し出そうとするかのような曇りのない瞳だった。彼女に対するほとんど憎しみに近い反発が、心中でわだかまっていたあらゆる感情へと延焼し、彼自身も、手が着けられなくなってしまった。「君はどうかしてる。なぜ、そうなんだ? ケンがこうして元気に育って、夫婦がこれからますます協力しなければならないっていうその時に?」「もちろん、あなたの力になり......
単語の意味
蟠る(わだかまる)
厳めしい・厳しい(いかめしい)
蟠る・・・心配や不満などの気持ちで、心の中がスッキリしない。心の中がモヤモヤしてる。
厳めしい・厳しい・・・雰囲気が立派すぎて、威圧感さえ感じる。甘えや妥協など許されない感じで、近寄りにくい。
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