心が波立つ

急き込む

蒼ざめて落ち着けずうろつく

もぞもぞする

急いでいるので、信号が赤のたびに、心臓の奥の方がきゅっと痛くなる

気が気でない

内心の動揺を 覚られまいと振舞うとき、半沢の左頰は主人を裏切ってピクピクと 痙攣 する。

焦れる

うきうきする

何もできないもどかしさに苛立ちだけが募る

駐車場で後ろから車が来ているのに、駐車券が見つからないくらい焦る

七尾は、自分の視界が狭くなるのが分かった。焦りのため、鼓動が早鐘を打ちはじめる。息が上がり、えもいわれぬ不安で胸が締め付けられる。頭を振った。どうする、どうする、と頭の中に囁き声が充満する。思考が、氾濫した水で押し流される。渦を巻き、思い浮かべた言葉や感情を、洗濯でもするかのようにごちゃまぜにする。七尾はその、焦燥感の洪水に身を任せた。激流が頭を搔き回す。もちろんほんのわずかな時間に過ぎず、たとえば、まばたきを数回するほどの間だったが、その奔流が止んだ途端、気持ちが切り替わった。頭の中の濁りが消え、思考や逡巡もなく、体が動く。先ほどとは打って変わり、視界が広くなる。

胃がふやけるような焦り

下っ腹から上へ上へと泥水が湧き上がってるような焦燥感

夜の営みを子供に見られたみたいに焦る

塩でもなめたような苦いジリジリした気持ち

どちらの決心もつかなかった。

動揺を隠すように唇を嚙み締めた。

何なのこれは、と卒業文集を私の前に突き付けると、頰をぶつようにリビングのテーブルに叩きつけた。

爪の垢（あか）まで人のやることがしゃくにさわる