朝のうちは雨でしたが、二時間目からだんだん明るくなって三時間目の終わりの十分休みにはとうとうすっかりやみ、あちこちに削ったような青ぞらもできて、その下をまっ白なうろこ雲がどんどん東へ走り、山の萱（かや）からも栗の木からも残りの雲が湯げのように立ちました。

雨は止んでいて、空には晴れ間が覗いていた。雲の間から陽射しが覗く。車道の轍に溜まった水や、玄関脇のブロック塀の表面に浮いた雨の一滴一滴が、みるみる蒸発していくようでもあった。

朝早く雨が上がった

さっきまで降っていたらしく路面は濡れたままで、タイヤの溝がすくいあげた泥水がフェンダーに勢いよく当たり続ける。

雨上りのような銀灰色の海

カーテンから洩れた陽に、埃が渦になって立ち舞っていた。

透かして入る日光の影が白い顔に青くちらちらと映る

けさまでは雨雲に閉じられていた空も見違えるようにからっと晴れ渡って、紺青（こんじょう）の色の日の光のために奥深く輝いていた。

陽射しをくぐるようにして池本邸に移る。

雲が少し切れて、五月の 陽 が家々の屋根に落ちてきた。