(その医者が)肋骨をさぐるたびに触れるあの指の硬さ、金属をあてられたようなヒヤッとしたあの感じは私にはうまく表現できないが、何か患者の生命本能を怯えさすものがある。
遠藤 周作「海と毒薬 (角川文庫)」に収録 ページ位置:7% 作品を確認(amazon)
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......良さそうなのに、何故やって来たのか私にはふしぎだった。 けれどもそうした技術のみごとさにかかわらず私にはこの医者が不安だった。不安というよりいやだった。こちらの肋骨をさぐるたびに触れるあの指の硬さ、金属をあてられたようなヒヤッとしたあの感じは私にはうまく表現できないが、何か患者の生命本能を怯えさすものがある。私はそれがあの芋虫のような太い指の動きのためかと思ったが、それだけでもないようだった。 ここに引越してから一か月近くたった。九月の下旬には義妹の結婚式のため九州......
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