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虚空を飛び散る速さで、まぶたのなかを様々な文字が飛んてゆく。  速くノートに書きとめておかなければ、この素速い文字は消えて忘れてしまうのだ。
林芙美子 / 新版 放浪記 ページ位置:90% 作品を確認(青空文庫)
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閃く・気づく・ふと思う
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前後の文章を含んだ引用
......だけれども、今夜こそは早く電気を消して眠りにつこうと思いながら、暗いところではなおさらさえざえとして頭がはっきりして来る。越し方、行末のことがわずらわしく浮び、虚空を飛び散る速さで、まぶたのなかを様々な文字が飛んてゆく。  速くノートに書きとめておかなければ、この素速い文字は消えて忘れてしまうのだ。  仕方なく電気をつけ、ノートをたぐり寄せる。鉛筆を探しているひまに、さっきの光るような文字は綺麗に忘れてしまって、そのひとかけらも思い出せない。また燈火を消す。......
単語の意味
虚空(こくう)
瞼・目蓋(まぶた)
虚空・・・1.何も存在しない空間。
2.1が転じて、大空。
3.数の単位のひとつ。六徳(りっとく)の10分の1。
瞼・目蓋・・・目の蓋(ふた)。眼球の表面をおおって、開閉する皮膚のひだ。瞼(まなぶた)。眼瞼(がんけん)。
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