視界の右端に映る身体が強烈な存在感をもち、彼女がステアリングを操作する度に彼の股間に力が入った。勃起はしていない。ただユナの腕の動きに合わせ、マリオネットのように先端が首をもたげるのだ。さっきまでかいていた汗はクーラーのおかげでひいていくが、彼の身体の奥はうだるように熱い。カーオーディオから流れる黒人歌手のシャウトが、ミラーに吊り下げられたスティッチの揺れ具合が爆発を促しているような気さえする。

（性欲）腰のあたりが落ち着かなくてむずむずしてた

下腹を熱くさせる

急に、校舎の温度が上がり、耳の後ろが熱で軋んだ。 　どうして、この未熟な身体に、こんなにコントロールできない熱が宿ってしまったのだろう。

（性的妄想）わたしは自分がそのほっそりとして滑らかな身体に抱かれるところを想像しました。彼女と同じ部屋にいて、ベッドの中でそんなみだらな想像をしていると、だんだん自分がちがう場所に押し流されていくような気がしました。

互いに食べ合うみたいに、口を動かしている。

魂の記憶に刻まれた遠いあこがれのように愛しい。

映画のワンシーンのような美しいキスシーン

水島は射精の瞬間を少しでも先にのばしたがっている。何度か動きを止め、あるいは身体を離し、鎮まるのを待つ。

彼女はぼくの属している世界の外縁をひとまわり広げて、大きく息をつかせてくれた。そんなことができるのはすみれだけだった。