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いや。あれは神じゃない。 蜘蛛 の巣にかかった 蝶 とそっくりだ。始めはその蝶はたしかに蝶にちがいなかった。だが翌日、それは外見だけは蝶の羽根と胴とをもちながら、実体を失った 死骸 になっていく。我々の神もこの日本では蜘蛛の巣にひっかかった蝶とそっくりに、外形と形式だけ神らしくみせながら、既に実体のない死骸になってしまった《…略…》お前たちが信じているあの神はこの国ではまるで蜘蛛の巣にぶらさがった蝶の死骸のように外形だけ保って血も実体も失っていたのだ
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 ページ位置:72% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......ていたのは基督教の神ではない。私たちには理解できぬ彼等流に屈折された神だった。もしあれを神というなら」フェレイラはうつむき、何かを思い出すように唇を動かした。「いや。あれは神じゃない。蜘蛛の巣にかかった蝶とそっくりだ。始めはその蝶はたしかに蝶にちがいなかった。だが翌日、それは外見だけは蝶の羽根と胴とをもちながら、実体を失った死骸になっていく。我々の神もこの日本では蜘蛛の巣にひっかかった蝶とそっくりに、外形と形式だけ神らしくみせながら、既に実体のない死骸になってしまった」「そんな筈はない。馬鹿げた話をもう聞きたくない。あなたほどこの日本にはいなかったが、私はこの眼で殉教者たちをはっきり見た」司祭は手で顔を覆うようにして指の間か......<中略>......るように禁制のせいでも、迫害のせいでもない。この国にはな、どうしても基督教を受けつけぬ何かがあったのだ」 フェレイラの言葉は一語一語、司祭の耳を刺のようにさす。お前たちが信じているあの神はこの国ではまるで蜘蛛の巣にぶらさがった蝶の死骸のように外形だけ保って血も実体も失っていたのだと、その時だけフェレイラは眼を熱っぽく光らせしゃべりつづけた。あの表情にはなぜか、敗者の自己欺瞞とは思えぬような真実さが感じられたのである。 尿を終えた番人の跫......
単語の意味
蜘蛛(くも)
蝶(ちょう)
蜘蛛・・・クモ目の節足動物の総称。8本足で体は袋状。尻から糸を出す。ほとんどの種は糸を使って巣を張り、そこに虫を捕らえて食べる。
・・・1.鱗翅目(りんしもく[=ガやチョウなど])の昆虫でガ以外のものを総称。四枚の大きな羽を羽ばたかせひらひらと昼間に飛ぶ。止まった時の羽を直立して閉じる、口先がらせん状になっているなどガと区別する。ただし、生物学的には明確な違いはない。主に昼間活動する。ひらひらと飛ぶ様子は死者の魂に結び付けられることもある。古名で「かわひらこ」という。
2.紋所の名。1の蝶をかたどったもの。
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