左右から木立の茂った山の崖裾の間をくねって通って行く道は、ときどき梢の葉の密閉を受け、行手が小暗くなる。
岡本かの子 / 東海道五十三次 ページ位置:41% 作品を確認(青空文庫)
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山道・峠道
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......お出しなさい。持っててあげますから」 鉄道の隧道 が通っていて、折柄、通りかかった汽車に一度現代の煙を吐きかけられた以後は、全く時代とは絶縁された峠の旧道である。左右から木立の茂った山の崖裾の間をくねって通って行く道は、ときどき梢の葉の密閉を受け、行手が小暗くなる。そういうところへ来ると空気はひやりとして、右側に趨 っている瀬川の音が急に音を高めて来る。何とも知れない鳥の声が、瀬戸物の破片を擦り合すような鋭い叫声を立てている......
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どうして我々のバスが峠の上でもう一台のバスが来るのを待っていたかといいう理由はすぐに明らかになった。山を少し下ったあたりから道幅が急に狭くなっていて二台の大型バスがすれちがうのはまったく不可能だったからだ。バスは何台かのライトバンや乗用車とすれちがったが、そのたびにどちらかがバックして、カーブのふくらみにぴったりと身を寄せなくてはならなかった。
村上 春樹 / ノルウェイの森 上 amazon
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(東海道)こんなに自然の変化も都会や宿村の生活も、名所や旧蹟も、うまく配合されている道筋はあまり他にはない
岡本かの子 / 東海道五十三次
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