恐怖の条件づけは扁桃体が担っているのです。もし、今後、皆さんが銀行に来ることに恐怖を抱くようになってしまいましたら、不本意ではありますが、それは私たちと扁桃体の責任になります

深いところに沈めた記憶

声を聞いているうちに、自分がまたあの事務所の椅子に座らされ、苛立った男たちに取り囲まれているような錯覚に陥っていく。

稲妻の閃きのように、言われた言葉が頭の中で繰り返し聞こえる

（母親から受けたトラウマ）母親の亡霊は今もなお、彼のまわりをうろついている。

弾かれたように、頭の中に風景が広がった。

表情が思い出せない。印象だけだった。

閉じた瞼に浮かぶ

象みたいに記憶力が良くて、つまらないことをいつまでもいつまでも覚えている。頭が悪いぶんを記憶力で補っているのだ。

二十年以上も昔の記憶が、逆流した。