彼女の唇は脱力して彼の唇に絡みついた。その口づけは、体に棲みついた官能を呼び起こす種類のものでは決してなかった。

（元サヤ）彼女の唇の感触に、狂おしい懐かしさと喜びの記憶がよみがえってきて泣く

人工呼吸のようなキス

唇が触れる

ちょっと見つめ合ってから、どちらともなく近づいて、私たちは一回だけ軽いキスをした。ほんの短い間だった。

志乃はだまって、暗闇のなかに衣ずれの音をさせた

私は彼女を見るたびなぜか「使命」という言葉をいつも思い出した。何か重いものを背負っているが、それをやむなく受け入れている、そういうシリアスさを感じた。それをどうして自分が感じるのかわからない。でもそういうところに 惹かれた。

彼女はちょっと抵抗しかけたがとうとう私の腕の中に切なそうに任せた

身体を離すまえに、緩く開いた唇を重ねる。深く探り合うことはせずに舌先で戯れ、水島の湯のような唾液を少し飲む。

激しいセックスをした翌朝のいつもの感触が、下半身にかすかに残っていた。身体の奥までひっかきまわされたような甘いだるさ。